おびえた鹿の奮闘記

結婚を機にはじめる30代からの資産運用

【投資初心者向け】資産クラス間の相関係数に基づいたポートフォリオの考え方

 

こんにちは、おびえた鹿です。

私は積み立て投資暦が1年未満の初心者なのですが、コロナ禍が本格化する3月頃までは米国株が好調だったことに浮かれてしまい、株式100%のポートフォリオを組んでいたため、3月以降は含み損が20%近くなり動揺していた時期がありました・・

そこで、ポートフォリオを見直すために書籍やブログや読んだのですが、安全資産(債券と金など)の扱いに関する意見が分かれており悩んでいました・・しかし、ある書籍で資産クラス間の相関係数に着目したポートフォリオが提案されており、私にはその考え方がしっくりきました。

この記事では、その書籍の要点を紹介し、また、最近の相関係数を調べた上でどのようなポートフォリオにするのが良さそうかを考えていこうと思います。

相関係数に注目するきっかけとなった書籍

モーニングスター社長の朝倉さんが著者の本*1です。2012年出版なので少し古いですが、低迷相場への対処方法をまとめており、時代に関係なく通用する内容だと感じました。

中でも、下の図ように、リーマンショック後は資産クラス同士の値動きが非常に似通り相関係数が高くなったことに注目しています。

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(出所:書籍のデータをもとに図表化)

一見すると、全ての資産クラスに対して相関が低い国内債権をポートフォリオに組み入れることが望ましいように思えますが、著者は日本人の資産が年金や預貯金、保険を通じて国債漬けになっている状況を踏まえ、ポートフォリオに組み入れるべきではないと主張しています。

その代わりに金(ゴールド)を保有し、ポートフォリオとしては海外株式60%(先進国30%、新興国30%)、海外債券30%(先進国15%、新興国15%)、ゴールド10%を薦めています。その理由として、ゴールドは全ての資産クラスとの相関性が低いだけでなく、インフレに強く、かつ、実物資産のため信用リスクがないことを挙げています。新興国の比率が大きい点に関しては書籍に詳しい説明があります。

私はこれまで、よくある投資信託のバランスファンドを見て、単に「資産を分散させるのが大事」と思っていたため、相関係数や金の特性に基づいた視点が新鮮でした。

直近の相関係数

 基準価格に基づいて手計算

先ほど紹介した書籍は2012年出版なので、資産クラス間の相関係数のデータも2012年までしかありませんでした。そこで、各資産クラスのeMAXISシリーズの基準価格のデータをモーニングスターのサイトからダウンロードし、2012年~2020年までの相関係数を自分で計算してみました。

理想的には、基準価格ではなく、指標そのものの値で相関係数をすべきなのですが、入手先が簡単に見つからなかったため基準価格で代用しました。資産クラスとeMAXISシリーズ商品名の対応関係は下の表の通りです(ゴールドのみeMAXISではありません)。

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いずれの資産クラスに対してもゴールドの相関係数が低いことは2012年以前と同様の傾向ですが、他のクラスでは互いの相関が高くなっていることがわかります。特に、国内債券クラスと負の相関を持つ資産クラスがなくなっていることが大きな違いだと思います。このことからも、国内債券クラスは追加する旨みはないかなと感じました。

JPモルガンの長期予想

世界経済などの情勢を踏まえて2020年以降どうなりそうか気になったので、J.P.モルガン・アセット・マネジメント超長期マーケット予測(Long-Term Capital Market Assumptions 2020年版)から相関係数を抜粋し整理しました。

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先ほど手計算した2012年7月末~2020年6月末のパターンよりも、リーマンショック以前の2002年5月末~2007年5月末のパターンに近い印象を受けます。

したがって、長期的に見ると相関係数の観点では国内債券クラスは他の資産クラスと負の相関を持つ望ましい性質を持ったクラスなのかもしれません。ただ、現状の金利を考えるとリターンがほぼ0%であまり魅力を感じないので今回は組み込みを見送ろうと思います。

一方で、ゴールドの相関はこれまで通り低いままなので、保有するメリットはありそうです。

まとめ

以上、資産クラスの相関係数に基づいてポートフォリオ構成を再検討した記事でした。直近8年間の基準価格に基づいて手計算した相関係数とJ.P.モルガンの長期予想の相関係数の両方を確認し、ゴールドが他の資産クラスに対して相関が低いことを確認しました。

今回は、国内債券を組み込むことを見送りましたが、今後の金利次第では考え直すかもしれません。理想的なポートフォリオは人それぞれの許容リスクによって異なるため正解は1つではありませんが、ポートフォリオを考える際の参考になれば幸いです。ご覧いただきありがとうございました。

*1:低迷相場でも負けない資産運用の新セオリー、朝日新聞出版