おびえた鹿の奮闘記

結婚を機にはじめる30代からの資産運用

【投資初心者向け】簡易シミュレーションによる運用期間と元本割れ率の関係調査

 

こんにちは、おびえた鹿です。

コロナ禍による緊急事態が解除され少し落ち着いてきましたが、ここ数ヶ月は自粛生活で気疲れする時期が続きましたね。特に、投資運用を始めたばかりの方は、含み損の額に驚き長期投資をこのまま継続するべきかどうか悩んだと思います。
 

私も昨年の9月から始めた投資初心者なのでかなり動揺しましたが、リーマンショック東日本大震災を乗り越えて資産を増やしている方々を書籍を通してたくさん知っているので、パニックにならずに済みました。

 

ただ、そういった事実を知っていても、あくまで結果論でしかないため、将来自分の資産がどうなるか不安になりますよね・・
この記事では、投資信託のリターンとリスクに基づいた簡単なシミュレーション(実験)を行い、運用期間と元本割れ率の関係を調査したいと思います。

 

資産運用におけるリスクとは

定義

リターンは資産が年間どのくらい増えるかを表した数字で直感的にわかりやすいのですが、リスクはピンとこない人が多いかもしれません。金融業界ではリスクは「将来の結果の不確実さ」を意味し、それを標準偏差という指標によって数値化したのがリスクとして表記されています。

標準偏差統計学の分野の用語ですが、投資信託などの金融資産の価格変動が正規分布というモデルに従って確率的に変化すると仮定すると、標準偏差(リスク)と平均(リターン)から2つの数字から将来の資産額とその確率がわかります

具体例を用いた解説

仮に、リターン5%、リスク20%の投資信託があったとすると1年後に得られるリターン(期待リターン)の発生確率は以下のような分布になります。

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リターンがぴったり5%となる確率は2%しかなく実際には、広がりがあることがわかります。逆に言うと、5%以上のリターンが得られる場合もあるということです。

正規分布の性質から
平均(リターン)±1標準偏差(リスク)の範囲に収まる確率は68.3%
平均(リターン)±2標準偏差(リスク)の範囲に収まる確率は95.5%
となることが統計的に保証されています。

投資期間と元本割れ率

リターンとリスクの考え方を使い、シミュレーションによって運用期間と元本割れ率の関係を調べてみました。

実験条件

シミュレーションで使う数字は以下の表の通りです。

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前章では1年あたりのリターンとリスクを使って説明しましたが、実際には毎月積み立て投資をする人がほとんどだと思うので、1ヶ月あたりのリターンとリスクを使いました。非現実的な数字だと実感がわかないので、モーニングスターのサイトからダウンロードしたeMAXIS 全世界株式インデックスの月次基準価格(2010年6月1日から2020年6月1日)を元に計算しました。

シミュレーション手順

【STEP1】

エクセルのRAND関数、NORM.INV関数と実験条件で設定したリターン(0.01)とリスク(0.05)を使って、その月のリターン=NORM.INV(RAND(),0.01,0.05)を計算する。

【STEP2】

翌月の資産額=(累積投資額+1ヶ月あたり投資額)×(1+その月のリターン)として360ヶ月分(36年分)を計算する。

結果

シミュレーションを10回行った際の評価額(色つきの線)と累積投資額(黒線)の推移を下の図にまとめました。

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運用年数が15年あたりまでは累積投資額と同じくらいですが、30年経つと累積投資額720万円を大幅に上回り1億円以上となったケースもあります。

縦軸を拡大したものが下のグラフになります。

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15年を過ぎたあたりからは累積投資額を下回っておらず、元本割れを起こしていません。また、赤線の場合のように、2度大きく元本割れを起こしたケースであっても30年経つと累積投資額を上回る評価額となっており、長期投資が有効であることがわかります。

実際に元本割れ率を計算してみると、下のグラフのようになります。

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シミュレーション回数が10回と少ないため、グラフがガタガタになっていますが、運用年数が10年以下では元本割れが発生しやすいと言えそうです。(今回はわかりやすさのためシミュレーションによって計算しましたが、統計学的に理論値を計算することもできるはずです)

まとめ

以上、運用期間と元本割れ率の関係をシミュレーションによって調べた記事でした。1度元本割れがあったとしても、15年以上の運用を想定しているなら最終的には元本割れしない可能性が高いことがわかりました(リスクが0%でない限り100%元本割れしないとは言えないのでご注意ください)。今回の記事が少しでも皆様の心の安定に繋がれば嬉しいです。ご覧いただきありがとうございました。